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鑑真和上で有名な唐招提寺に行ったことはありますか?
薬師寺の北側に建つ、唐招提寺は、奈良公園や春日大社から少し西に外れますが、最寄り駅の「西ノ京駅」から歩いてすぐのところにあります。
紅葉シーズンに先立って、秋晴れの日に訪れてみました。
私が唐招提寺に行くのは、これで2度目です。
最初に訪れたのは、今年の初めでした。
実は、私、奈良京美は、この唐招提寺へ自転車で行ける距離のところに住んでいます。
近鉄電車の線路沿いを、自転車走らせていくと、松の木が覆う、南大門が見えてきました。
この、唐招提寺の南大門あたりの空気が、とてもピースフルで、私は大好きなのです。
お寺に入るのは、これが2度目ですが、拝観料がなければ、もっと頻繁に訪れていたと思います・・
ちなみに、拝観料は、2018年10月現在で、600円です。今は、新宝館で、秋の特別展をしていて、こちらは追加料金が200円になります。
さて、中に入るとすぐに、美しい金堂が目に飛び込んできます。
この金堂は、鑑真和上の弟子である如宝が建てたとされています。
実は、いま、永井路子さんの「氷輪」を読んでいます。これは来日後の鑑真とその弟子たち、さらに当時の平城京の権力者たち、聖武天皇、光明皇后、藤原仲麻呂そして孝謙・称徳天皇などについて記されていて、小説とは異なった、史実に沿った論文か研究書とも言える作品になっています。
鑑真和上の物語といえば、井上靖さんの「天平の甍」が有名ですが、日本へ渡航するまでの話よりも、渡航後のことに興味があったのと、ご存知の通り、仲麻呂やその周辺の人々について知りたかったのが、読む動機でもありました。
ところが、これは、純然たる小説のように、ストーリーや感情表現で読者の心を揺さぶってくる作品ではなく、あくまで資料に沿っての論証的な文章が続いているのです。
それが返って興味深くもあり、ときには読みにくくもあって、モヤモヤする心になっていました。
エンターテイメントではなく、論文に近い文章は、ときに眠たくもあり、それでも、真実により近くあろうとする作者の追求は面白くて、読み進むことができています。
本当はどうだったのだろうか?
この謎解きのような、追求、探求心が、歴史ものを読む楽しさでもあります。
いま、私が読んでいるのは、鑑真和上がなくなって、唐律招提という名の修行場に過ぎなかった食堂と講堂に、本格的な寺としての金堂が建てられるまでの、歴史考証の部分なのです。
だから、まだ、唐招提寺のご本尊である「廬舎那仏(るしゃなぶつ)」は出てきません。
それでも、私は、ストーリーに先立って、この廬舎那仏と、その両脇に鎮座する「千手観音像」と「薬師如来像」を、どうしても見たくなったのでした。
長い前置きでしたが、今回の訪問での収穫は、この「3つの像を拝めたこと」と、「和上の御陵に入れたこと」、そして前述の「秋季特別展で、奈良時代の仏像や̪甍を間近で見ることができたこと」でした。
この3つの場所には、どれも、静謐な空気がただよっていました。二度目の来訪で、ようやく唐招提寺の魅力というものを実感できたような気がしています。
少し長くなったので、続きは次回にしたいと思います。