紅葉シーズン?唐招提寺の新宝蔵で「東洋のトルソー」など秋季特別展を拝観

唐招提寺、境内にある新宝蔵で、秋の特別展を見た感想です。

ここには、奈良時代の貴重な仏像がずらりと並んでいて、じっくり拝観することができます。

なかでも、「東洋のトルソー」と呼ばれる仏像は、ルーブル美術館のニケ像を思わせる、美しいお姿をしていました。

 

この唐招提寺の新宝蔵における秋季特別展は、9月から11月末まで開催されていて、唐招提寺の拝観料とは別に200円の入館料が必要です。

http://www.toshodaiji.jp/about_shinhouzoh.html

シンプルな作りの新宝蔵館内ですが、ここに奈良時代の仏像を中心に集められていて、はるかな時を越えて佇む姿に圧倒されそうです。

いえ、圧倒されるというより、心が静かになる、という方がしっくりくるかもしれません。

 

奈良時代といえば、1400年近く前のことですね。

木造の仏像が、それほどの時を越えて立ち続けるのは、それを守ってきた人々がいたからでもあるのでしょうし、さらに、その努力や歴史の重みを軽やかに超えて、そこにただ佇んでいる美しさをしみじみと感じることができる気がします。

 

そう感じられる理由のひとつに、とても間近で見られる、ということがあります。

お寺や神社のなかには、暗いなか遠くから拝観しなければならない場合も多いですが、明るい照明のあたる場所で、間近に見ることができるのは、まさにプレミアムな体験です。この点は、奈良のよいところだと思います。

さて、ここに並ぶ仏像ですが、ひときわ目を引くのは、やはり「東洋のトルソー」あるいは「唐招提寺のトルソー」と呼ばれる如来形立像です。

上記画像の一番右です(リーフレットからの転写なので、画像が鮮明でないことお許しください。リンク先でもご確認できます)。

顔や手などが破損されて、まるでルーブル美術館のニケ像のように、体の胴部分だけが残っている仏像で、本当のところ如来像なのかはっきりしないともいわれています。

 

ですが、この像の持つ静のパワーにはすばらしいものがあります。

お顔がない分、想像されるからなのでしょうか。。

 

そこに立っているだけの、トルソーつまり「胴の部分」だけなのに、存在感がすごいのです。

全体的に、なだらかな曲線が幾重にも彫られていて、生き生きとした躍動感と、華やかな生の息吹、さらには何かを語りかけてくるような、得体のしれない美を感じさせられました。

妖しさが聖なるものに反転するときに生じる美しさ、というのでしょうか、不思議な魅力をたたえた像です。

カヤ材の一木彫成像であり、これもまた貴重な仏像である由縁だそうです。

 

ただ、よくみると、この如来立像は、奈良時代のものではなく、平安時代と記されていました。

それを知って、館内全体をもう一度よく見てみると、奈良時代の仏像のなかに、お顔のない平安時代の仏像がまぎれていることで、より日本の美というものが強調されているのかもしれないな、と思いました。

 

このほかに、奈良時代に金堂の屋根の両端に掲げられていた̪鴟尾(しび)の片側のものが残っていて、展示されています。こちらは国宝です。

さらに、奈良時代の薬師如来立像(上記画像の中央)や十一面観音立像などについては、鑑真和上に同行していた仏師たちの影響が強く出ているそうで、その木彫の仏像が、当時の日本に与えた影響に思いを馳せるのも一興です。

 

どしんとした大らかな美、というのでしょうか。その後の京都・平安時代の洗練された美の前身ともいえそうで、奈良でこそ感じられる美しさなのかもしれません。

 

奈良時代の仏像であるのと同時に、はるばる日本に来られた、鑑真和上のパワーを感じられる気がするといえば、言い過ぎでしょうか・・

 

冒頭にもお伝えしたように、この秋季特別展は、11月末まで開催されています。

このあとは、大みそかと年始の三が日、次は春季の3月から6月末になります。

今なら、ちょうど、境内の紅葉も楽しめるかもしれませんよ。