- 投稿 2018/02/16
- 奈良ライフ
朝か夜、あるいは夕方に歩いている方はいらっしゃいますか?
・・・そういう方、尊敬します。あなたは本当にエライです。
奈良に住み始めたとき、
古墳のまわりをウォーキングする、と口走っていた、京美です。
木造アパート2階の窓を開けると、
こんもりとした森のような林のような、
常緑樹の緑のあたりから、
澄んだ空気が手招きしているようにも見えました。
なのに、
歩くのは気持ちいいはず、と思いながらも、
この2か月、実行できませんでした。
極寒を言い訳に、歩きたいという気持ちさえ、
棚上げして見ないようにしていたんです。
そして3か月めの今朝、
ごみ出しついでに歩いてみようと、
やっと実現いたしました。
お弁当を作らなくてもよい日だった、
というのも理由でしょう。
とにかく歩いてみよう。
そう思って、お濠に沿った道を、
手ぶらでてくてく進んでいきました。
ところで、
手ぶらで歩くって、気分がいいものですね。
かばんも財布もケータイでさえ携帯せずに、
身軽さを感じながら歩くのは、
なにやら解放感があって、
何者でもない自分を、むしろしっかり感じ取れるような
喜びもあったりして、
肩こりもなおってしまいそうな爽快さです。
途中で、駅へ向かう道とは別に、お濠沿いの土道がありました。
遊歩道というか、
ちょっとした散歩道というか、
御陵の参拝所までの参詣道のようです。
ぬかるみを避けるように、飛び石もあったりして、
朝露や夜霧に濡れた泥にすべることなく歩けます。
道は、北から東へぐるりとまわっていました。
東のかなたには、北から南へ山脈がつらなり、
まだ上って間もない朝の太陽が、
オレンジ色の光で古墳を照らしています。
そのとき、
獣の鳴くような、けたたましい声が聞こえてきました。
古墳の森のなかから、
鳥たちの鳴き声が騒々しいほど響き渡っているのです。
この2ヶ月、お濠で泳ぐカモやサギをよく見かけてはいました。
ですが、
カモが群れていることはあっても、
寒い時期ということもあるのか、
サギは多くても一度に3、4羽しか見たことはありませんでした。
そのサギは、白い色でした。
真っ白ではなかったので、いわゆるアオサギなのかもしれません。
そのサギが、
今朝はなんと古墳の森の木々に、ずらずらと
スズメかハトのように大勢でとまっているではありませんか。
さらに、
まっくろの鳥で、白いくちばしをもつカワウが、
これも同じようにずらずらととまって朝日を浴びているのです。
びっくりしました。
こんなたくさんの鳥たちが、この木々の奥にいたとは。
朝の挨拶なのか、
動物園のおさるさんか何かのように、
ギャーギャーという音に近い鳴き声をたてているのですから。
鳴いているのは、見えない鳥たちのようでした。
木々にとまっている輩は、じっと朝日に向かって、
ほっこりとまどろんでいるような静けさで、
きらきらと木の枝に乗っかっていました。
さらに歩くと、
カモが2羽いました。
それが、おかしなことに、
1羽は水の中にいて、もう1羽は陸というか、
なだらかな坂になった、コンクリートの排水口のようなプレートの上で、
素足を出して踏ん張って立っているのです。
寒いのか?
さむいから水には入りたくないけど、
朝日に光る水面は見ていたいのか?
ほかにも、小さな黒い鳥がいました。
カワウの子どもかなと思うサイズでしたけれど、
どうなのでしょう。
かわいいです。
道は一度車道に出て、
その先は参詣所の鳥居に続く砂利歩道になりました。
少し先に、リュックサックを背負った年配の男性が、
杖をつきながら、あぶなっかしい足取りで歩いています。
追い越すときに、ご挨拶のお声がけをすることにしました。
おはようございます。
何やらぶつぶつ独り言を話されていたようですが、
こちらを見て、
おはよう、と返してくださいました。
80か、もしかしたら90近い方かも。
石造りの鳥居から、古墳に向かってお参りをして、
道はそれ以上は立ち入れないようになっていたので、
そのまますぐに引き返しました。
小さな曲がり角で、
さきほどのおじいさんが、立ち止まって休憩されていました。
参拝がすむのを待っていてくださってたのかもしれません。
会釈をすると、何かをつぶやくように話しかけられました。
お早うお参りで。
初め、「おはよう」の部分しか聞き取れなかったのですが、
数秒後に、後の部分は「お参りで」とおっしゃったと脳が判断しました。
お早うにお参りされましたね、という意味ですね。
おおお。
ほめられたのかも?ほめられた?ほめられてしまった!
と喜んでスキップしながら、
お濠沿いの道を戻っていった、京美です。
このウォーキングに、続きはあるのでしょうか。。
ちなみに、
仁王立ちしていたカモは、
帰り道でもまだ足を踏ん張って立っていました。
その意志の強さを、見習いたいです。