不安感は、不幸よりも強い感情だということについての検証

不安な気持ちにとらわれるのは、損するばかりのことだと聞けば、信じられますか?

 

一度、不安感にとらわれると、百害あって一利なし、ともいえます。

 

実は、不安な感情は、不幸でいることよりも強いものなのです。

 

今回は、具体例をあげて、このことを考えてみたいと思います。

 

人は、不安になると、新しい行動をしにくくなります。

 

体が疲れているときは動きたくなくて、家でゴロゴロしたいですよね。

 

それと似ていて、不安な気持ちは、未知なる世界へ踏み出すことをはばみます。

そうするのが、安全なことだからです。

 

危険が目前にあるときは、安全をとるのは当然のことです。

ですが、危険に見える川の向こう側に、望みの宝が待っていれば、じっとしていることが得策なのでしょうか。

 

不安な心に留まることは、渡ってもいい川を目前にして、ぐずぐずすることに似ています。

 

なぜなら、ときに不安の感情は、不幸でいることよりも強烈だからです。

 

例えば、パワハラのひどい上司のもとで働いている場合を想像してください。

 

仕事のことだけでなく、人格を否定することを強く言われたり、暴言をはかれたり、休みをとらせてもらえず、サービス残業を強いられたりしたとして、そのままその上司のもとで働くのは不幸のはずです。

 

でも、不安にからめとられている人は、他の会社に転職するとか、部署変更を申し出るという未知なる世界へ飛び込むことが怖いので、現状にとどまります。

つまり、不幸のままでいようとするのです。

 

ある意味、現実が「見えなくなっている」んですね。

 

そして、どんどん不幸になってしまいます。

 

また、別の例として、例えば、夫に暴力をふるわれている妻がいるとします。

 

彼女は、夫と別れることも考えはするものの、将来のことを考えると不安になります。

自分で経済的に自立することが不安なのか、一人になることが不安なのか。

やってみないと解らない、あるいは、やってやれないことはない、という気持ちになれず、現状にとどまるので、やはり不幸なままです。

 

これもまた、不幸よりも、不安の方が強いケースといえます。

 

つまり、不安感というのは、現状にしがみついているようにみえて、今を生きていないことになります。

今を生きていないということは、過去に執着していることです。

 

現在がどうにもならない、と感じている人は、実は自分は過去に依存しているのではないか?と考えてみてはいかがでしょうか。

 

目の前に横たわる川を渡ることができれば、自分が欲しかった幸せが手に入るのかもしれないのですから、一考してみる価値はあると思うのです。